パーキー・パットの日々

 

 フィリップ・K・ディック

「パーキー・パットの日々」より。

 

この世界では、大人たちがパーキー・パット人形を使って

ゲームをしています。

空から落ちてくるラジオなどの補給物資を流用して

パーキー・パットの模型セット作りにいそしんでいるのです。

人形の家を作り、車を作り、テレビを置き、洋服を着せて。

水爆戦争が始まる前の豊かだった暮らしを再現しているのです。

 

大人たちが競うのは、パーキー・パットの人生すごろくゲーム。

例えば、あるコマに止まると、パーキー・パットが

精神分析医に20ドル払う、といった按配。

アメリカらしいですね。

 

別の穴では、コニー・コンパニオンと名付けられた人形で

遊んでいるという噂を聞き、ノーマンとフランのシャイン夫妻は

自分たちのパーキー・パット人形を賭けて、勝負を仕掛け

無事コニー・コンパニオン人形をゲット。ところが・・・

 

パーキー・パットがボーイフレンドのハワードとは

清い関係の、幼いティーンエイジャーであるのに対し

コニー・コンパニオンは職業を持ち、結婚していて

しかも妊娠しているという。

一歩進んだ人形を手に入れたことを告げる夫妻を

その穴の住人たちは受け入れず、石を投げる。

 

人間が新しい教義を受け入れることは難しい。

石を投げるという抗議から、新約聖書を思い出しました。

なんだか宗教戦争のようではありませんか。

 

AA X BBは王道だとか、BB X AAはマイナーだとか。 

これ、二次創作のカップリングなどにも通ずる考え方ですね。